最近、話題になることも多い「無期雇用派遣」
派遣としてすでにご就業されている方は特にこの言葉は耳にされることが多いかもしれませんね。
法律やルールが多くて分かりずらいことが増えています。
「無期雇用派遣」て何?
どうやったらなれるの?条件は?具体的なメリット・デメリットは??
2018年問題と関係あるって本当???
当サイトにもそんなご質問をよくいただくため、改めて「無期雇用派遣」について説明していきたいと思います。
無期雇用派遣とは
通常、派遣法により派遣ではその会社で3年間しか働くことは出来ません ※正確には組織変更が起こった場合、さらに最大3年間働けることもあります
そのため「派遣」という働き方は期間限定的と見なされています。
ただ「無期雇用派遣」の場合、その名の通り「無期」と付くように、期間の定めがなくなります。
つまり、「派遣法の3年間」や「労働契約法の5年間」といった縛りを受けなくなるため、安定して働き先を担保でき、収入も安定的に入ります。
どうやったら「無期雇用派遣」になれるの?
通常の「登録型派遣」であれば、派遣会社の登録会に行き、キャリアカウンセラーなどと面談の後、簡単なスキルチェックを受講することで派遣登録が完了します。
しかし、「無期雇用派遣」の場合は「登録」ではなく、基本的に「採用・選考」があります。書類選考から面接まで設けられているため、学歴や職歴に資格など本来派遣では禁止されている選考を受けるという点が大きく異なります。
また派遣先企業も年齢が若めの方を求める事のほうがケースとしては多いため、残念ながら、派遣元会社も無期化をするのは基本30代程度までとなってしまうことが多いようです。
「無期雇用派遣」の雇用形態とは図に表すと以下の流れになります。
通常は派遣会社へ登録してお仕事が始まる際に「有期契約」という期間に定めのある契約を派遣元会社と結んで、派遣先会社で働きます。
それが、「有期契約」ではなくなり、「無期契約」に変わるわけです。
「無期契約」=「正社員」とは異なります。派遣会社の契約社員として雇われ「有期」ではなくその派遣先で「無期」的に働いていく(派遣法などに縛られない)スタイルです。
つまるところ、派遣会社に契約社員として雇われて派遣先会社にいくようなイメージです。
「無期雇用派遣」のメリット
「無期雇用派遣」のメリット面は大きくわけると以下の5つの点となります。
①給与が時給から月給制
通常派遣の時給制とは異なり、社員同様の月給制となります。
今のところ各社の料金形態を調べるとおおよそ20~22万円ほどがの月給のようです。もちろん英語や専門性の高い事務などスキルによっては料金面は変わってはきます。
本来であると派遣先企業が決まっていて、そこで働くことによってお給与をいただくところですが、無期雇用派遣であると、紹介先がなく働けていない場合でも月給制のためお給与が発生してきます。
この安定性が最大のメリットとも言えるでしょう。
②交通費の支給
今では少しずつ増えてきている交通費の支給ですが、無期雇用派遣でも基本的には発生してきます。(※絶対ではありません)
通常派遣の際はよく時給に交通費が含まれているなどのケースがあり、税金で引かれてしまう部分がありますが、月給制となり別途交通費のため非課税にて交通費が出ます。
※2018年現在、パーソルテンプスタッフ・リクルートスタッフィング・スタッフサービスが上限1万円/月額、アデコが上限3万円/月額で無期雇用派遣者に対して交通費の支給を決定しました。
③正社員と同様の福利厚生
派遣社員も労働条件が整えば、社会保険・雇用保険に加え有休も発生しますし、
派遣元会社の福利厚生の一部を利用できます。
ただ、無期雇用派遣だと正社員と同様レベルのサービスとなります。内容は主に映画やレジャー・ホテル・フィットネスクラブ・レンタカーなどの割引と大きく変わらないですが、割引料がさらに高くなります。
④各種研修が充実
大手派遣会社では、派遣スタッフの方のスキルアップを図るために充実した事務OA操作(Word、Excelなど)に関する研修からTOEICなどの英語研修や職種別研修を用意しています。
派遣社員であるということは常にスキル面が求められますし、無期雇用派遣となればなおさらです。
こちらにおいても福利厚生と同様に社員価格や無料で受けられるなどの特典があります。
⑤大手企業などでキャリアアップのチャンス
無期雇用派遣であると、多くは重要顧客先での就業となるでしょう。
通常では、正社員として入ることが難しい大手の企業や外資系企業などの一流企業への派遣も可能性として増えるため、そういった企業での就業のチャンスとなり、優秀な方と一緒に働ける機会も得られる可能性があるでしょう。
「無期雇用派遣」のデメリット
①就業先が選べない
本来、派遣社員の特権とは好きな就業先、就業形態(残業なし、週3日など)を選択出来ることが最大のメリットです。
しかし、無期雇用覇権を選ぶということはその自由を失うということにもなり得ます。派遣会社も出来るだけスタッフの方の希望に合わせた就業先や就業形態に近い会社を案内してくれるでしょうが、条件によってはそうはいきません。
勤務地も都内であればいいですが、基本的には全国区か関東地域の選択となるため、
関東地域だとしても都内以外の埼玉、神奈川などになっていくこともあり得るでしょう。
②簡単には辞められない
「派遣」と言えば、初回2か月契約が当たり前ですが、その「当たり前」が無期雇用派遣ではありません。
行くと決まった派遣先には半年の場合もあれば、3年や5年の場合もあるわけです。
通常の派遣であれば、環境や人が少し嫌だという理由で、初回満了終了なども出来ますが、そうはいかなくなってきますので注意が必要です。
辞める事は不可能ではないですが、まずそのリスクを理解しましょう。
③給与が正社員のように上がらない
正社員のように毎年昇給していくようなことがないのは、大きなデメリットかと思います。長く働いていく可能性もある会社であるのに、そういった条件面の向上がないとモチベーションをキープするのは難しいですよね。
上がらない理由は、一つの企業で長く勤めていく可能性が高いからです。
「安定」という言葉と繋がりますが、同時に派遣先と業務が変わらない限りあまり上がっていくことは想定できないはずです。
④契約を切られる可能性もある
前述しましたが、「無期雇用派遣」=「正社員」ではありません。
あくまで派遣法の3年などの期間に定めがない派遣の就業形態となります。
派遣先において直接雇用にしてもらえることがあれば状況も違いますが、今のところ無期雇用派から直接雇用に変わった実績はほとんどありません。
それもそのはずです。派遣先企業にとっても評価が高い人だとしても今の条件で、ずっと来てくれる無期の派遣スタッフをあえて高額な紹介手数料や給与を出して雇うかと言えば、そんな非効率的なことはしないわけです。
⑤「お客様」ではなくなる
派遣であると少なからず企業サイドには「お客様」的な感覚があります。
自社の方ではないため、あまり強く言えなかったり強要出来ないことが多くあります。
何かあれば派遣会社が出てきてしまうからです。
ただ無期雇用派遣となれば、まず派遣会社も同じ会社の人間という認識になります。
そのため派遣会社も簡単に何でも相談に乗ってくれなかったり、扱いやすい存在となってしまいます。そのため派遣先の企業環境によっては我慢しなければならないことも多々増えていくでしょう。
逆に言えばこういった適正や我慢強さも採用の際に見られていく観点となるかと思います。
2018年問題による「無期雇用派遣」は内容が異なる?
採用・選考を受けずに、「無期雇用派遣」になるもう一つの方法あります。
それは2018年問題の一つである「労働契約法5年」に該当することです。
これは有期契約が5年以上続いている場合において、雇用者が直接雇用を希望すれば雇用元はそれを拒否することは出来ないという2013年4月に施工された法律です。
これは派遣であれば、2013年4月以降に同じ派遣元から5年間継続して就業している場合は同じく、直接雇用してもらえる権利がもらえるということです。
しかし、この場合は採用・選考を伴わないで入れるため、年齢も関係なく50代の方でも直接雇用化されます。そのため派遣会社も上記で述べていたようなメリット面をつけずに無期雇用派遣に切り替える可能性があります。
どういうことかと言うと、雇用の安定は保つものの交通費や月給制にせずにそのままの条件で長く、同じ派遣元で就業出来るだけのものという可能性があるということです。
現にそういった大手派遣会社が出ているということを聞いています。
そうなるとほとんどメリットがないですよね。
基本的には、元派遣営業マンからすれば、今後は無期雇用派遣に頼るよりは直接雇用となれる正社員のお仕事をご自分で探していくか、割り切って通常の派遣として3年間就業先を変えながら働かれる方が良いのではないかと思います。
現在、話題になっている「無期雇用派遣」とは正社員と派遣社員のメリットを半分ずつ持っていると同時にデメリットも半分ずつ持ってしまっている雇用形態です。
慎重に選んでいくべきでしょう。
現在、インターネット社会がより進んできたことで、在宅ワークやダブルワークなど多様な働き方がどんどん増えてきています。
無期雇用派遣もその中の一環でしょう。
ライフワークバランス、年収、環境、安定など、ご自分の中の「希望」が何なのかを今一度見つめ直していくことから始めてはいかがでしょうか。